先生があなたに伝えたいこと / 【藤井 裕之】人工関節センターの目的は、患者さんの求めていることに近い医療を提供すること。そのために、各分野の専門スタッフがチームを組んでいます。

先生があなたに伝えたいこと

【藤井 裕之】人工関節センターの目的は、患者さんの求めていることに近い医療を提供すること。そのために、各分野の専門スタッフがチームを組んでいます。

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院
ふじい ひろし
藤井 裕之 先生
専門:人工股関節人工膝関節

藤井先生の一面

1.休日には何をして過ごしますか?
 本、特にノンフィクションを読んで過ごすことが多いです。あとはラグビー観戦とたまにラグビーの試合にも出ています。

2.最近気になることは何ですか?
 やはり、これからの日本のことでしょうか。次の世代が安心して暮らせる国であってくれるのかどうか...。大人の責任は重大ですね。

先生からのメッセージ

人工関節センターの目的は、患者さんの求めていることに近い医療を提供すること。そのために、各分野の専門スタッフがチームを組んでいます。

Q. 最近、「人工関節センター」という名称をよく耳にするようになりました。その人工関節センターとはどのようなものなのか、役割や専門性について教えてください。

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生A. 人工関節センターは、人工関節手術を専門に扱う施設です。ひと言でいうとそうなのですが、人工関節手術というのはQOL(生活の質)を上げるための治療のひとつであって、手術結果だけがすべてではありません。もっと総合的に、手術後のよりよい生活のことまでを踏まえて、患者さんお一人おひとりに向き合うことが求められます。そこで当院の人工関節センターは、人工関節手術の一連の流れの最初から最後まで専門チーム全体で情報を共有しながら一人の患者さんをきちんと診る体制を取っていて、具体的には、大きく3つのことを目的としています。

Q. 3つの目的とは?

A. 1つめは「手術の質を上げる」こと。2つめは患者さんが「安心してスムーズな入院生活を送れる」こと、そして3つめが「安全性の高い手術を行う」こと。特に、手術の質を上げるというのは人工関節センターに不可欠な目的で、個人レベル・チームレベルで目指しています。

Q. では、スムーズな入院生活と手術の安全面について、もう少し詳しく聞かせください。まずは入院生活についてお願いします。

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生A. 本当にいろいろな取り組みがありますので、簡単にご説明するのは難しいのですが...。たとえば外来で手術が決まれば、手術のための自己血を貯血しますけれども、外来も採血時に同じ看護師が担当します。入院から退院までの間、担当の看護師やスタッフが変わるということはありません。担当する者によっていうことが違うということも起きませんから、患者さんは「安心です」といってくださいますね。ほかにも、人工関節を入れますと身体障害者手帳が交付されますが、そういうところの書類の準備や整備、また医療費や患者さんが使える社会的サービスのことをちゃんと説明できる体制も整えています。
外来レベルで手術が決まるまでの検査など一連の流れを管理する、「人工関節コーディネーター」というスタッフを設置しています。患者さんに持病があれば、専門医やかかりつけ医との連携をとり、薬の管理などを担っています。

Q. 患者さんにとっては本当に心強いですね。次に、安全な手術ということについてはいかがでしょう?

A. 先ほど申し上げたように、かかりつけのお医者さんへの連絡などが滞ることはまずないですし、そのことも安全な手術を実現する上で不可欠のことです。またチームの中には、整形外科医だけではなくて、糖尿専門の先生、循環器専門の先生、麻酔科、あるいは脳外科など、各専門の先生方がおられますから、入院後、持病のある患者さんが、何科の何先生のもとで治療するという流れも確立されます。手術の合併症に関しても、それに精通したスタッフがチームに所属していて、年に何度か勉強会をし、お互いのデータを発表して情報交換をする場を設けています。
人工関節センターでは、患者さん全員に、スタンダードな形で安全性の高い手術を提供することが可能といえるでしょう。

Q. なるほど。まさにチームの力を結集して、ということですね。

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生A. ええ。それができるのが人工関節センターということでしょうね。それぞれがやっている仕事をチーム全員が評価し、理解し、助け合う。とにかくチームとして、一人の患者さんの疾患をきちっと治療する。それを実現しようというのが人工関節センターです。
みんなが専門チームの一員であるという意識を持つことはすごく大事で、全員でいい結果を出すんだという共通の目的が持てることは仕事のやりがいにつながり、患者さんにはもちろんですが、我々にとっても大きなプラスになります。

Q. 大変よくわかりました。ところで、先生ご自身が、手術において重要視されていることは何でしょうか?

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生A. その方の状況を正しく把握すること。年齢差や持病によって、同じ人工関節置換術を受けられても同じ結果が出るわけではありませんから。それにもうひとつ大事なことは、"求めていらっしゃるものが患者さんによって全然違う"ということ。生活の中でどうしても車を運転する必要があるとか子育て中とか、サッカーを続けたいなど、千差万別ですね。その希望に少しでも近づき、応えられるような手術を行う必要があります。術式、機種選択、手術をするタイミングなど、選択できる中で"最良と思われる選択"をし、それに応じたリハビリテーションを行うことが大切です。最初に触れたように、痛みが取れた、歩けたという結果だけが、手術のすべてではないのです。

Q. QOLを上げるためのオーダーメイドの治療ということでしょうか?

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生A. その通りです。そのためには少しでもよい結果につながる可能性があるものは積極的に使います。たとえば、コンピュータを使った術前計画の実施もそのひとつです。「設置角度を2度こちらにずらしたほうがいい」とか「ここを1mmずらして入れよう」とか、その方その方に合わせた計画を立てて手術を行います。股関節の場合ですと、骨盤が前に傾いている方、後ろに傾いている方があって、脱臼しやすい方向も違います。後ろに脱臼しやすい方なら前方から進入して後ろの関節の袋を残す術式を採用したり、ということがあります。うちはこうです、というのではなくて、「あなたにとってベストな手術法と機種を選び、リハビリはこうしましょう」ということです。

Q. ありがとうございました。最後に、人工関節センターの今後についてはどのようにお考えでしょうか?

山口県厚生農業協同組合連合会 小郡第一総合病院 藤井 裕之 先生A. 常に新しい情報を収集し、なおかつ、センター化して経験と症例とを積んでいるわけですので、そのことを学会で発表するなどして世の中に発信し続けていくことが大事だと思っています。また繰り返しになりますが、"それを必要としている患者さんに、求めていらっしゃるものに近い医療を提供する"のがセンターの目的。けれども、ひとつの施設ではキャパシティの問題もあります。これからは、より多くの患者さんに同じようなクオリティーの医療を提供するために、同様の志を持つ仲間を集めて連携し、お互いが切磋琢磨して仕事ができるような環境を整えることも、非常に大切だと考えています。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

藤井 裕之 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2013.4.17

*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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